著作権シリーズ:第3回 SNS・Webで見かけた画像や文章、勝手に使って大丈夫?
インターネットやSNSの普及により、私たちは日常的に無数の画像や文章に触れています。
「この写真、会社のSNSで使いたいな」「この文章、資料に引用したい」──
そんな衝動に駆られた経験は、誰しも一度はあるのではないでしょうか。
しかし、そのまま無断で使ってしまうのは非常に危険です。
SNSやWeb上に公開されているコンテンツの多くには「著作権」が存在し、許可なく利用すれば著作権侵害に該当する可能性があります。
今回は、経営者の皆様にとって特に重要な「ネット上の著作物の扱い方」について、実務上の注意点とともにわかりやすく解説します。
✅ 基本ルール:「公開されている」=「自由に使える」ではない
インターネット上の文章や画像は、**原則として著作権のある「著作物」**です。
著作権は創作と同時に自動的に発生するため、著作権マークや登録の有無にかかわらず保護されます。
たとえば、次のような行為は著作権侵害に該当するおそれがあります。
- 他人の画像をコピーして自社のSNSに投稿する
- 他人のブログ記事を一部抜粋して資料に使用する
- 加工して使用したから「別物」と考えて掲載する
どれもありがちな行動ですが、著作権者の許可がなければアウトになるケースが多いのです。
⚠️ 経営者が特に注意したい「著作権侵害」のリスク
「少しだけならいいだろう」「引用元を書いておけばOK」──
こうした誤解から安易に著作物を使用してしまうと、以下のようなリスクが企業に降りかかることもあります。
- 損害賠償請求:著作権者から使用料や損害の賠償を求められる
- 差止請求:問題となる投稿や資料の削除を求められる
- 信用失墜:コンプライアンス違反として企業の評判が傷つく
- 刑事罰:悪質な場合には、刑事責任を問われることも
特に法人による著作権侵害は「知らなかった」では済まされず、企業としての信頼を失う重大なリスクをはらんでいます。
✅ 利用が許される場合とは?著作権の「例外」規定
一方で、著作権法には一定の条件を満たせば著作権者の許可なく利用できる場合もあります。ただし、どれも条件が厳しく、安易な適用は危険です。
◆ 引用(著作権法第32条)
以下の条件を満たす場合、他人の著作物を引用することができます。
- 引用が必要不可欠である(例:自説の補強や批評のため)
- 自分の著作物が主、引用部分が従である
- 出所を明記している
→ 単に気に入った文章を抜粋・掲載するだけでは、引用にはなりません。
◆ 著作権の消滅(パブリックドメイン)
著作権は永遠ではなく、個人の著作物は著作者の死後70年を経過すると、原則として自由に利用できるようになります。
→ ただし、著作物の種類や著作権の帰属状況によっては異なるケースもあるため、確認が必要です。
◆ 著作権フリー素材の利用
「CC0」「パブリックドメイン」「商用利用可」など、利用条件が緩和された素材も存在しますが、以下の点に注意が必要です。
- 本当にフリー素材かを信頼できるソースで確認する
- 利用規約を熟読し、遵守する(クレジット表示が必要な場合も)
- 悪質なサイトでは他人の著作物を勝手にフリー素材として配布している例もあります
🧩 経営者が押さえるべき実務ポイント
企業のWeb・SNS活用が重要性を増す中で、以下の対応を徹底しておくことがリスク回避につながります。
① 社内での著作権教育
SNS・Web担当者や資料作成担当者には、著作権の基礎知識と実例を交えた研修を行いましょう。
「知らなかった」が通用しないリスクを全員が認識しておくことが重要です。
② フリー素材や画像サイトの利用規約確認
- 利用前に必ず利用条件を最後まで確認する
- 曖昧な場合は使用を控えるか、運営元に問い合わせる
③ 自社コンテンツの著作権管理
- 自社で制作した画像や文章には、著作権表示を行う(©〇〇など)
- 無断転載対策として、**ウォーターマーク(透かし)**を挿入することも有効です
④ 専門家への相談
不安なケースやグレーゾーンは、自社で判断せず弁理士や弁護士など専門家に相談するのが賢明です。
✅ まとめ|著作物の利用は慎重に
インターネット上には魅力的な画像や文章があふれていますが、
それらは**「誰かの創作物」=「著作権があるもの」**であることを忘れてはいけません。
経営者としては、社内全体のコンプライアンス体制を整え、
安易な利用を防ぐ環境をつくることが、企業の信頼を守る第一歩です。
次回は、
「ホームページ・ロゴ・資料は著作権で守られる?──商標・意匠との違いと実務での注意点」
についてお届けします。
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🧑💼 黒川弁理士事務所|代表 弁理士 黒川陽一(京都)
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