著作権シリーズ:第8回 フリー素材・AI生成物の正しい使い方とは?

──「商用利用可」でも注意すべき著作権の落とし穴とは?

プレゼン資料、ホームページ、広告、SNS投稿など、さまざまな場面で「フリー素材」や「AI生成コンテンツ」が使われるようになりました。
しかし、**「商用利用可」と書いてあるから大丈夫!**と安易に使ってしまうと、著作権侵害や契約違反につながることもあります。

本記事では、フリー素材やAI生成物の著作権の基本と、注意すべき実務的ポイントを解説します。

⚠「フリー素材=著作権フリー」ではない!

「フリー素材」とは、多くの場合、著作権は保持したまま利用を許諾している素材のことです。
つまり、

  • 利用条件がある
  • 使用方法に制限がある
  • 著作権は誰かが保有している

といった場合がほとんどです。

✅ 「商用利用可」でも、「再配布は禁止」「クレジット表記必須」などの条件が付いていることもあります。

よくあるフリー素材の著作権トラブル

❌ 商用利用禁止素材を企業HPで使用

→ フリー素材でも、「個人利用のみ可」の画像を会社のWebサイトで使ったため、削除要請を受けた事例。

❌ 利用規約の改訂を見落として継続使用

→ 以前は商用OKだった素材が、後から利用条件が変更されていたにも関わらず、継続使用してしまった。

❌ 再配布禁止素材を研修資料で配布

→ 社員教育用資料に画像を挿入し、PDFで外部配布していたため、再配布に該当すると指摘された。

AI生成物は著作権的に「グレー」な領域も

最近は、ChatGPTや画像生成AI(Midjourney、Stable Diffusion等)によってAI生成コンテンツを活用する機会も増えています。
しかし、AIによる創作物は、

  • 著作権が認められない可能性がある(=誰でも使えるように見えて、リスクがある)
  • 生成に使われたデータセットが第三者の著作物を含む可能性がある
  • 利用規約で再配布・商用利用が制限されている場合がある

など、法的にも契約的にも不安定な部分があります。

フリー素材・AI生成物を使うときのチェックリスト

項目内容備考
✅ 素材の出所確認信頼できる提供元か無断転載サイトは避ける
✅ 利用条件の確認商用利用、改変、再配布の可否利用前に必ず規約を読む
✅ 著作権表示の要否クレジット表記が必要か「©作者名」の記載義務があるケースも
✅ 利用規約の保存取得時点の規約を保存トラブル時の証拠になる
✅ AI利用時の規約確認商用利用の可否、著作権帰属特に有料プランと無料プランで違うことも

実務で気をつける3つのポイント

✅ 1. 使い回しに注意(再配布・二次利用にあたる可能性)

同じ素材を社内資料・Web・広告などに使いまわすと、「配布行為」「二次利用」に該当する場合があります。
➡ 利用シーンごとに規約を確認するクセをつけましょう。

✅ 2. 社内で「使用OKな素材」のルール化を

素材の使い方は、ルールがないと属人的になりがちです。
おすすめは以下のような社内ガイドラインの整備です:

  • 使用可能な素材サイト一覧を作成
  • 商用利用条件の有無を分類
  • 規約キャプチャを保存するルール

✅ 3. 自社コンテンツはオリジナルで構成を

資料・広告・ブログ・SNSなど、自社発信の重要なコンテンツでは、フリー素材に頼りすぎず、オリジナル制作を基本にしましょう。
➡ 外注時には素材の出所や使用許諾を報告してもらう契約条項を設けると安心です。

まとめ:フリー素材も「著作物」、AI生成物は「契約ベース」で考える

対策内容
✅ 規約確認素材サイト・AIサービスの利用規約を必ず読む
✅ 出所明示ダウンロード元・作者名などを記録しておく
✅ 使用履歴管理いつ・どこで使用したかを社内で管理する
✅ 教育・啓発社員に著作権リスクを周知する研修を

「フリー」でも「無料」でも、著作物である以上はルールがあります。
素材やAI生成物を正しく使い、自社の発信に安心と信頼を添えていきましょう。

📘 次回(第9回)は、
写真・イラスト・動画の著作権と肖像権 ー 社内撮影やイベントの注意点をわかりやすく解説
について解説する予定です。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!!

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