【特許はマーケティングにも使える!】ビッグデータとしての特許情報の可能性を解説

こんにちは。京都の弁理士、黒川陽一です。

「特許は、出願して権利を取るためのもの」

もちろんそれも正解ですが、実は“特許情報”そのものが経営やマーケティングの強力な武器になることをご存じでしょうか?

特許は単なる「法的な権利」ではありません。そこには膨大な技術・企業活動・市場の動きに関する情報が詰まっています。そしてそれは、マーケティング戦略の立案や新規事業のヒントにまで応用できるのです。

今回は、特許情報を「ビッグデータ」として活用するという視点から、マーケティングに役立てる方法をわかりやすく解説します。

1.特許情報には何が書かれているのか?

まず、特許情報とは、特許庁が公開している技術情報です。日本だけで年間30万件以上の特許が出願されており、そのすべてが一定期間後に「特許公報」として公開されます。

特許公報には、以下のような情報が詳細に記載されています:

  • 誰が出願したか(企業名・個人名)
  • どのような技術か(発明の内容)
  • なぜその発明が必要だったか(技術的課題)
  • どのように解決したか(解決手段)
  • いつ出願・公開されたか(時系列情報)
  • 関連する分野(FI/Fタームなど)
  • 過去の技術(引用文献)との関係
  • 発明の効果
  • 図面

このように、特許情報は単なる技術の説明ではなく、企業の技術戦略やマーケットのニーズを映し出す鏡とも言える存在です。

2.特許情報は“マーケティングの宝の山”

では、これらの情報が、なぜマーケティングに使えるのでしょうか?その答えは、「特許情報=技術×企業戦略×市場ニーズのビッグデータ」だからです。

具体的に、どのようにマーケティングに活かせるのか見てみましょう。

  • 競合分析に活用できる
    • 特許情報を調査すれば、競合企業がどんな技術に注力しているのかが手に取るようにわかります。出願数の推移、出願分野の変化、新たに出願しているテーマなどを分析すれば、競合の研究開発や商品戦略の方向性を把握できます。
  • 市場ニーズの変化を読み取れる
    • 「なぜその発明が必要だったのか(課題)」という視点で特許を見ると、その時代の市場のニーズや社会課題が浮き彫りになります。課題の変遷を見ることで、どのような顧客ニーズが拡大しているかを知ることができるのです。
  • 自社の強み・差別化ポイントの再発見
    • 他社の特許と自社技術を比較することで、自社ならではの技術的強みや独自性を発見できます。これは、ブランディングや商品USP(独自の売り)を明確化する上でも非常に有効です。
  • 新規事業・新製品のアイデア源になる
    • 特許情報は、まだ製品化されていない技術の宝庫でもあります。特許公報を読み解くことで、未開拓の技術分野や、今後伸びそうな分野を見つけることができます。そこから新たな事業機会が生まれることも多くあります。
  • 顧客ニーズを深掘りできる
    • 特許情報に記載された「課題」や「発明の効果」から、顧客が抱える潜在的なニーズや、製品・サービスに求める価値を深掘りできます。
  • 技術トレンドから市場の未来を予測できる
    • 特定の技術分野における特許出願の増加や、特定の課題に対する解決手段の多様化など、技術トレンドを分析することで、将来の市場ニーズや技術革新の方向性を予測できます。

3.特許情報を“ビッグデータ”として見るという発想

年間30万件以上という数は、まさにビッグデータです。しかも、それぞれの特許には詳細なテキスト情報が含まれており、時系列・技術分類・企業別など多様な軸で分析可能です。

たとえば、以下のような分析が可能です:

  • 過去5年間における●●技術分野の出願動向
  • 業界大手●社の新規出願トレンドとその変化
  • 中小企業による新規市場参入の兆候
  • 海外企業が注力している日本市場での技術分野
  • 特定課題に対する技術解決手法の多様性と進化
  • 特定の顧客層に向けた技術開発の動向

これらをマーケティングに応用すれば、「誰が、どんな技術で、どんなニーズに応えようとしているか」という市場の生きた情報が見えてきます。

4.実際の活用例:こんな使い方ができます

  • ✅ マーケティング部門が、商品開発前に技術動向を調査
  • ✅ 経営企画部が、競合の戦略を先読み
  • ✅ 新規事業部が、ホワイトスペース(未開拓市場)を探索
  • ✅ ブランディング担当が、独自技術をベースに差別化メッセージを設計
  • ✅ 営業部門が、顧客への提案資料作成に特許情報を活用
  • ✅ 広報部門が、自社の技術広報のネタ探しに特許情報を活用

これらはすべて、特許情報を“戦略データ”として扱うことで可能になります。

5.専門家の支援で、より効果的な分析を

とはいえ、特許情報は専門用語も多く、読み解くには一定の知識が必要です。また、分析には視点の工夫やデータ整理のノウハウも欠かせません。

「何をどう調べればいいかわからない」

「分析結果をどのように経営に活かせばよいか見えない」

そんな時は、弁理士など知財専門家のサポートを受けることで、効果的かつ効率的に活用できます。

【まとめ】特許は“出願するだけ”ではもったいない

特許は、出願して守るだけのものではありません。

公開された特許情報は、まさに「企業の技術と戦略を可視化したデータベース」です。

この情報をマーケティングの視点で読み解くことで、

  • 市場ニーズを先読みし、
  • 競合の動きを把握し、
  • 自社の差別化要素を再定義し、
  • 新たなビジネスのヒントを得る
  • 顧客ニーズを深掘りする
  • 市場の未来を予測する

ことができるのです。

特許情報というビッグデータを、貴社のマーケティング戦略にもぜひ活かしてみてください。

ご相談ください!!

「特許情報をどう活かせばいいのか分からない」

「競合分析や市場トレンドを知りたい」

「新規事業のヒントを探したい」

そんな方は、ぜひ一度ご相談ください。

黒川弁理士事務所では、貴社の状況に合わせて特許情報の調査・分析をサポートします。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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🧑‍💼 黒川弁理士事務所|代表 弁理士 黒川陽一(京都)


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