なぜ今、「知財ガバナンス」が重要なのか ― 政府ガイドラインと現場感覚から考える ―

こんにちは。
京都の弁理士・黒川です。

最近、「知財ガバナンス」という言葉を
耳にする機会が増えてきました。

背景には、
内閣府・経済産業省が策定した
知財・無形資産ガバナンスガイドライン の存在があります。

もっとも、このガイドラインを見て、

  • 上場企業向けの話では?
  • 中小企業には関係ないのでは?

と感じる方も多いかもしれません。

今回は、
この公式ガイドラインが何を言おうとしているのか
そして
中小企業ではどう受け止め、どう考えればよいのか
を整理してみたいと思います。


政府のガイドラインは、何を求めているのか

「知財・無形資産ガバナンスガイドライン」で
繰り返し強調されているのは、
次のような考え方です。

  • 知財・無形資産は、単なるコストではない
  • 経営戦略と一体で考えるべき資産である
  • そのために、取締役会を含むガバナンスが重要である

つまり、このガイドラインは、

知財を、現場任せ・専門家任せにしないでほしい

というメッセージを、
企業に対して投げかけています。


知財ガバナンス=「立派な規程」ではない

ここで誤解されがちなのが、

知財ガバナンス=規程整備

というイメージです。

しかし、ガイドラインをよく読むと、
本質はそこではありません。

重要なのは、

  • 誰が
  • どのタイミングで
  • どんな視点で

知財に関する判断をしているのか。

つまり、
判断の仕組みそのものです。


大企業では、どうしているのか

大企業では、

  • 知財部がある
  • 職務発明規程がある
  • 出願・非出願の判断フローがある

といった形で、
知財に関する判断が
人と仕組みで分散されています。

これは「大企業だからできる」
という話ではありません。

判断を個人に抱え込ませない

という状態が、
結果として実現されている、という点が重要です。


中小企業では、どうなりがちか

一方で、中小企業では、

  • 経営者がすべて判断している
  • 忙しくて後回しになっている
  • 出願は「必要になってから」考える

といった状況が多く見られます。

これは、
知財を軽視しているからではありません。

むしろ、

考える時間と整理の仕組みがない

というのが、現実だと思います。


知財ガバナンスを考えないと、何が起きるのか

知財ガバナンスが曖昧なままだと、
次のようなことが起こりやすくなります。

  • 本来出すべき発明が拾われない
  • 戦略性のない出願が増える
  • 契約交渉で不利な立場に立たされる
  • 経営判断のスピードが落ちる

どれも、
すぐに致命傷になるわけではありません。

しかし、
気づいたときには取り返しがつかない
というケースが少なくないのも事実です。


中小企業の知財ガバナンスは、どう考えればよいか

ここで強調したいのは、

最初から完璧を目指す必要はない

ということです。

政府のガイドラインも、
「一律の正解」を示しているわけではありません。

中小企業にとって大切なのは、

  • 全部を決めることではなく
  • 「決めどころ」を決めること

です。

たとえば、

  • 出願するかどうかは誰が決めるのか
  • 外部専門家に相談するタイミングはいつか

こうした点が整理されるだけでも、
現場の判断は格段に楽になります。


まとめ:知財ガバナンスは「考え方」から始めればいい

知財ガバナンスという言葉は、
少し堅く聞こえるかもしれません。

しかし本質は、

  • 知財をどう扱うか
  • 誰が判断するか

という、
経営の意思決定の話です。

次回は、
実際の打合せで整理した内容をもとに、

「これくらいは決めておいた方がいい」知財ガバナンスの項目

を、一覧表として紹介する予定です。

より具体的なイメージを持っていただける内容になると思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!


🧑‍💼 黒川弁理士事務所|代表 弁理士 黒川陽一
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