「デザイン経営」に触れて感じたこと ~「らしさ」に向き合うことが、知財を一段深くする~

こんにちは。
京都の弁理士・黒川です。

今回は、2025年度に堺市で実施されたデザイン経営支援プログラムに、弁理士として参加する中で感じたことを書いてみたいと思います。

このプログラムでは、支援企業に対して、実際にデザイン経営をワークショップ形式で導入する取り組みに関わりました。

正直に言うと、最初は少し懐疑的でした。

「また新しい言葉が出てきたな」
そんな感覚があったのも事実です。

知財経営、知財ガバナンス、オープンイノベーション…。
ここ数年だけでも、いろいろな言葉が次々と出てきています。

その中で「デザイン経営」と言われても、
最初はどこか、
“新しい看板がまた増えた”
くらいの受け止め方をしていたように思います。

一番の学びは、「らしさ」に着目することだった

ただ、実際に関わってみて、
一番印象に残ったのは
「らしさ」に着目することの大切さ でした。

ここでいう「らしさ」は、
単に見た目や雰囲気の話ではありません。

  • その会社は、なぜその事業をやっているのか
  • どんな価値を社会に提供したいのか
  • その会社である必然性はどこにあるのか

そういった、
会社のアイデンティティやビジョン に近いものです。

しかも、それを表面的に言葉にするだけではなく、
「本当にそうなのか?」
「なぜそれが自社らしさなのか?」
と、もう一歩掘り下げて考えていくことが重要なのだと感じました。

普段の知財実務でも、私はまず事業から把握するようにしている

この感覚は、実は私が普段の知財実務で大事にしていることとも、かなり重なります。

私は、特許出願の相談を受けたときでも、
できるだけ事業から把握するようにしています。

なぜなら、
その出願が事業の中でどんな位置づけにあるのかを整理しないまま進めると、
後で「結局これは何のための出願だったのか」という話になりやすいからです。

出願自体が目的になってしまうと、
どうしても無駄が生まれやすい。
これは、実務の中でも何度も感じてきたことです。

ただ、「らしさ」まで掘り下げると、もう一段独自性が生まれる

今回、デザイン経営に触れて、
その視点がさらに一歩深くなったように感じました。

事業との関係を考えることは大事です。
でも、そのさらに奥にある
会社の「らしさ」 まで着目すると、
その事業の独自性の見え方が少し変わってきます。

「なぜこの会社がこの事業をやっているのか」
「その背景にある価値観は何か」
「その会社ならではの視点はどこにあるのか」

そこまで見えてくると、
商品・サービスのレベルに落としたときにも、
もう一段、独自性が立ち上がってくる ように感じました。

これは、知財の世界で言えば、
単なる技術的差異を拾うだけではなく、
その会社らしい価値の出し方を意識して言語化すること
にもつながるのではないかと思います。

企業の存在意義を考えることは、より深い意味での知財活動につながる

知財活動というと、
どうしても

  • 特許を取る
  • 商標を取る
  • 契約を整える

といった、目に見える行為の方に意識が向きがちです。

もちろん、それらは大切です。
ただ、その前提として

この会社は何者で、どこに向かおうとしているのか

を考えることは、
もっと深い意味での知財活動につながるのではないか。
今回のプログラムを通じて、そんなことを感じました。

知財は、単に守るための仕組みではなく、
その会社の「らしさ」や「目指す方向」を形にしていく営み
でもあるのだと思います。

最初は懐疑的だったからこそ、学びになった

最初に少し懐疑的だったからこそ、
今回の学びは自分の中に残ったのかもしれません。

「デザイン経営」という言葉自体を追いかけるというより、
その中で語られていた
“らしさ”に向き合う視点 を、
今後の実務にも活かしていきたいと思っています。

特許出願の相談でも、
契約の相談でも、
あるいは知財戦略の整理でも、

「この会社らしさは何か」
「なぜこの事業をやるのか」
という問いを、
もう一歩深く持てるかどうかで、
知財活動の質も変わってくるように感じています。

まとめ

デザイン経営という言葉に対して、
最初は正直、少し距離を感じていました。

ただ、実際に関わってみて感じたのは、
その本質は「新しい流行語」ではなく、
会社のらしさや存在意義にきちんと向き合うこと にあるのではないか、ということです。

そしてそれは、
私が普段行っている知財実務とも、
決して離れた話ではありませんでした。

むしろ、
事業の位置づけを見るだけでなく、
さらにその奥にある「らしさ」まで掘り下げることで、
より深い意味での知財活動につながっていく。
今回の経験を通じて、そんなことを学びました。

なお、特許庁では「デザイン経営」に関する報告会も開催されており、
関心のある方は以下のページも参考になると思います。

特許庁「デザイン経営が企業を変える ~なぜ、特許庁がデザイン経営を推進するのか~」


🧑‍💼 黒川弁理士事務所|代表 弁理士 黒川陽一
📩 初回30分無料!お問い合わせはこちら
🌐 スタートアップ・中小企業の経営に役立つ知財情報を発信中!

#デザイン経営 #知財経営 #知財支援 #中小企業支援 #スタートアップ支援 #弁理士 #経営と知財 #黒川弁理士事務所