「スクショ」が商標登録?ユーザーとして気をつけるべきことはあるの?
最近、SNS上で「スクショ」が商標登録されたというニュースが話題になっています。
「えっ、スクショって普通の言葉じゃないの?
今後使っちゃダメなの?」──そんな疑問の声も多く聞かれます。
この記事では、このニュースをきっかけに、「商標って何?」「商標的使用って?」「指定商品・指定役務って?」というポイントを、解説します。
📌 商標とは?──それは「目印」です
商標とは、ざっくり言えば「商品やサービスの出どころ(提供元)を示す目印」です。
たとえば「iPhone」や「ユニクロ」といった名前やロゴは、それぞれApple社やファーストリテイリング社の商品であることを示す“しるし”として使われています。
こうした商標を特許庁に登録することで、「他人が同じような名前やマークを同じ分野で使うことを防ぐ権利」が生まれます。それが商標権です。
🧾「スクショ」も商標登録された?
今回話題になっているのは、GMOインターネットグループの子会社が、「スクショ」という言葉を特定のサービス分野で商標登録したという事例です。
ここで大切なのが、「商標登録は、商標単体ではなく、指定商品・指定役務とのセットで登録される」という点です。
📦 商標は「何に使うか」もセットで登録される
たとえば、「スクショ」という言葉が登録されたのは、以下のような分野です(実際の商標公報の一例):
- コンピュータプログラム: 画像、文字、映像などのデータを管理・共有するためのソフトウェア
- オンラインサービス: インターネット上での情報共有、ユーザー認証、データ保存などに関するサービス
- ウェブサイトの作成・保守: ウェブサイトやソーシャルネットワーキングサイトの構築・管理
- サーバの記憶領域の貸与: インターネット上でデータや機能を提供するための場所の提供
つまり、「スクショ」という言葉を、これらのサービス名や商品名として使う場合には注意が必要ということです。
逆に言えば、たとえば飲食店の名前や趣味のブログタイトルで「スクショ」を使う場合は、基本的には商標権の対象外となります(もちろん、他の商標がないかの確認は必要ですが)。
⚠️ 商標的使用とは?普通に言うだけならOK!
ここでよくある誤解を解いておきましょう。
「じゃあ、『スクショ』って言っちゃいけないの?」
そんなことはありません。
商標権が問題となるのは、**「商標的使用」**の場合だけです。
✅ 商標的使用とは?
商標的使用とは、その言葉を「商品名」「サービス名」として使うことです。
たとえば、画像管理アプリを開発して「スクショ」という名前をつけてリリースしようとすると、それは商標的使用になります。
一方で、日常会話やSNSで「この画像スクショしたよ」と使うのは、あくまで一般名称的な使い方なので、商標権の侵害にはなりません。
🧠 商標侵害かどうかを判断するためのポイント
商標権が侵害されたかどうかを判断するには、以下の点を確認する必要があります。
① 登録された商標かどうか?
- 商標登録されていない場合、そもそも商標権の問題は生じません。
② 登録された「指定商品・役務」と関係あるか?
- 商標が登録されていても、関係のない分野で使っているなら問題ないことが多いです。
③ 「商標的使用」になっていないか?
- ただの表現や説明、会話の中での使用なら問題なし。
🧑💻 ユーザーや企業が注意すべきことは?
一般ユーザーの場合
- SNSや会話で「スクショ」を使うのは問題なし
- ブログ・YouTubeなどでも、商品名・サービス名として使わない限りOK
サービス提供者や法人の場合
- 商品名・サービス名に「スクショ」を使う場合は、指定商品・役務との関係を要確認
- 登録されている分野と被っていないか、専門家に相談を!
✅ 商標登録された=全面禁止、ではない
今回のような話題は、「登録されたら使えなくなるのでは?」と不安にさせがちですが、商標制度の本質は「ブランド保護」です。
つまり、その商標が使われる**範囲(指定商品・役務)**で、そのブランドを守るための制度であり、日常の言葉を広く独占するものではありません。
だからこそ、正しく制度を理解すれば、必要以上に怖がらずに済みます。
まとめ
- 商標は「商標」+「指定商品・役務」のセットで登録される
- 「スクショ」は特定分野で商標登録されたが、一般的な使用は問題なし
- 日常会話やSNSで使う分にはOK
- 商品名やサービス名にする場合は注意が必要
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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